小田セン。

好きなものは、好きなままでいられるように。

アイドルタイムプリパラ16話「あの地獄にさよならを」感想

プリパラを、アイドルを、極端にまで毛嫌う風紀委員長、地獄ミミ子。

校長を含め、アボカド学園全体がプリパラを認めるようになるなか、ミミ子だけは頑なにプリパラを拒絶し続けていました。なぜ彼女は、そこまでプリパラを嫌うのか…その真相が明かされた時、ミミ子がとった行動は…

これは、「夢」がもたらした、少しせつないお話…

 

・地獄の閻魔様はアイドルの夢を見るか

同士だと思っていたみちるまでそっちの世界に行ってしまい、またしても孤独なスタンスに戻ったミミ子。もはや許すまじとプリパラのプリすら聞き漏らさない程に、地獄チューニングで耳の感度を上げ、徹底的に取り締まろうとします。…感度上げ過ぎてプリンだのプリンスメロンだのプリ違いの事まで突っかかってしまっていますが。感度を下げたら今度はあろまと地獄観の違いでモメる騒ぎに…結局校長の介入で騒ぎは収まりましたが、周りからは「最近の委員長が怖い」という禍根だけが残るのでした…

ババリア校長はどうしてそこまでプリパラを嫌うのかとミミ子に問いかけますが、ミミ子は耳を(物理的に)閉じて去っていくのでした。幼い頃から娘のように可愛がってきた校長は、孤独に拍車がかかるミミ子を見かねて、校長はらぁらとゆいを呼び出し、ミミ子にプリパラやアイドルの素晴らしさを教えて欲しいと頼み込みます。ミミ子はその地獄耳ゆえに絶対音感を持ち、正確な音程で歌えるスキルを持っているという。だからこそアイドルへの夢を持ってほしいという校長の想いに、ゆいとらぁらは頼みを引き受けました。

という訳で、あの歌この歌(ほんとふでやすは自分が作詞したあの曲好きだな!)でミミ子をプリパラへ誘おうとしますが、頑なに拒否されるどころか、音程やリズムのずれも指摘する始末。なるほど、音楽の才能は本物のようです。そこまでの才能を持ってるなら、なぜアイドルへどころか歌手の夢を持たないのか…

その時、らぁらもゆいもアイドルへの夢を昔から抱いていたという話で、若干心が揺れ動くミミ子。じゃあミミ子の夢は…と聞くと、夢なんて持ったことないと一蹴し、またしても耳を物理的に閉じて去っていくのでした。

どうやっても拒絶するミミ子。じゃあどうすればプリパラへ興味を持ってくれるのか…ならば強制的にプリパラへ連れ込む!

いつものふでやす的進行で強制的にプリパラに連れ込み、無理矢理ゆいとらぁらのペアライブをミミ子に見せつけ聞かせるのでした…

結局それかよ! …教育上よろしくない事を平然とやりのけるアニメ…恐るべし(

 

・閻魔の目にも涙

かくして、生ライブを直に聞かせられたミミ子。しかし、これがきっかけで、ミミ子はある事を思い出します。幼き頃、実は自身もまた、アイドルに憧れていた事を…

親から褒められるほどに、ミミ子の才能を幼い頃から発揮していました。だからこそ、アイドルになる事を夢見ていた。ミミ子は既にアイドルへの夢を持っていたのです。

しかし、周りから、上手いからってアイドルになれるわけない、そもそも地獄なんて名前怖い、と心無い声を浴びせられ、ミミ子はショックでアイドルへの夢を捨ててしまったのです。そして長い時を経て、パパラ宿にプリパラが出来た際、プリパラを、アイドルを憎むようになっていたのです。

絶対音感の地獄耳を持ち、アイドルの夢を持ち、プリパラの素晴らしさも知っていた。なのに、ふとした事で夢を捨て、アイドルを憎んだまま長い時が過ぎてしまっていた。そしていつしか自分の耳にフィルターをかけ、周りの声も、校長の声も拒絶していた…そんなミミ子の心境は「後悔」だったと私は感じています。

溢れる想いで涙を流すミミ子は、「あぁ閻魔様、私は、アイドルに…」と呟き、プリパラを去るのでした…

その後、ミミ子はは校長宛てに置き手紙を残して、アボカド学園を去りました。結局、ゆい達のやってきた事は無駄でしかなかったのでしょうか。はてまた、迷惑千万だったのでしょうか…手紙にはこう記されていました。自分を見つめなおす為、地獄めぐりの旅に出ると。

赤巻をほおばりながら旅路を歩くミミ子。その面は、どこか憑き物が取れたかのような笑顔をしていました。

ゆいは願います。いつかミミ子にも、いい夢を見て欲しいと…

 

・夢を取り戻すために

グロリア校長や紫京院ひびきのように、過去には「プリパラや友情を憎む者が、ある事をきっかけに反省や更生し、立ち直る」という展開がありましたが、今回のミミ子は、これまでのソレとは違っていました。

ミミ子がこの時に感じたのは、今までの荒行に対する反省よりも、自分もまた夢を持っていた事に対する後悔だったのですから。

非常にやるせないとは思いますね…夢を捨てていて、しかも長らくそれに気づかなかったというのは…まるで時間があの時で止まったままのように。だからこそミミ子は旅に出たのでしょう。止まっていた時間を動かすために。

夢にうつつを抜かすアイドル、夢川ゆい。夢が何だったか思い出せないアスリート、虹色にの。夢に自信が持てないプリンセス、幸多みちる。そして、夢を捨ててしまった閻魔様、地獄ミミ子。

「夢」が重要なファクターのキャラメイクをしている今作。正直、ミミ子はなんだかんだでいつかはプリパラデビューする徳田ねね辺りのポジションだと思っていましたが、まさかこんな形で退場になるなんて…しかし、プリパラは忘れがちだけど女児アニメ。ゆいが信じているように、必ずビッグになって戻って来ると私も信じています。

だからこそ今は、そういう意味合いも込めて、今回はサブタイを最後に持ってきたのでしょうね。

「あの地獄にさよならを」