小田セン。

好きなものは、好きなままでいられるように。

新幹線変形ロボ シンカリオンZ 第7話「強襲!横川支部防衛戦!」感想&解説 ~化け狸の逆襲~

人類とテオティが遂に相対した。

テオティの企てを阻止せんと、シンカリオンは立ちはだかる。

ならば容赦はせんと、テオティも、遂に動き出す…!

…のだが、そこに、一匹の狸が紛れ込む。

 

・化け狸は実在する!

ある夜、シンカリオンの整備が長引いたので外の空気を浴びに休憩していた細川アツタ。そこに突如現れるワダツミの姿が!怯える細川だったが、その直後に細川が見たのはケガをして倒れた狸だった。細川はこれは化け狸じゃないかと思い、妖怪に詳しいシンの元へ連れてきたのだが…
実はあの狸は、以前にワダツミの力で操った者だったのだ。赤黒いコードの力で得たであろう変化能力により、巨大怪物体ネギだるま・ネギマシだるまに変化して攻め込んだものの、2度もシンカリオンに阻止されるどころか、ワダツミの姿にまで化けてテオティに対し犯行の意思を示していたのだ。ケガをしたのも、その夜にヴァルトムに返り討ちにされた時のものだった。
そんな事など知る由もなく、シンは化け狸の存在を信じ、伝説の化け狸「隠神刑部」からとった刑部と名付けて友達として触れ合うのだった…

…2話でネギマシだるまから尻尾のようなものが見えていたことから、正体は狸なのは察してはいましたが、狸の巨大怪物体じゃなくて、狸が巨大怪物体に化けていたとは。

・ワダツミの挑戦状

アブトが前回コンタクトしたワダツミのスケッチを細川が見た事で、あの狸はワダツミが化けたものじゃないのかと疑うアブトと細川。それでも違うよな?と信じるシン。その時、横川支部に警報が鳴り響く。ワダツミが堂々と横川支部に侵入してきたのだ。
テオティの侵攻を止めるものなら止めてみろと、シンカリオンに対し挑戦状を叩き付けるワダツミ。迎え撃つようにシンはE5ヤマノテで出撃するが、ワダツミも天狗のような巨大な姿に変化し、Zグランクロスをも跳ね除けシンとE5を軽々と翻弄する。
最早これまで…と思いきや、あの狸がネギだるまの姿になって乱入し、シンを窮地から救う。その隙に立て直したシンはヤマノテエキスカリバーで反撃。ワダツミの剣をへし折り、撤退に追い込ませる事に成功した。
狸はあの後どこかへ去ってしまったが、それでもシンは、狸はテオティを恨み自分を助けてくれた、化け狸は存在すると信じるのであった。

…早すぎるカチコミは、むしろ相手の出鼻を挫くのが目的だったんでしょうな。自身の本気を見せつける事で邪魔するのを止めてもらおうという。実際Zグランクロスを跳ねのけるほどの強さでしたし。これを序盤の内にやるとなるとこの先のパワーインフレがやばそう(
そしてまたしても謎のビジョンが脳裏に浮かび上がったアブト。謎の新幹線に行方不明の父親は以前もでしたが、新たに浮かび上がったのはシンカリオンZの設計図(しかも青焼き)に謎の天体…天体については、ニコニコの方で「オウムアムアか?」というコメントが出ており、最近発見された太陽系外から飛来した天体だそうで。
…やはりオカルト要素は宇宙まで広まりそうな感じですかねこれは。もっとも、前作だってキトラ古墳に四聖獣に北欧神話でしたが…てか、アブト、ほんとに「人間」なのか…?

・今回の鉄道ポイント:E235系の10号車に注目!

今回はこれといった鉄道要素がないので、このコーナーでまだ紹介してなかったE235系の事をば。
ザイライナーにもなっているE235系は、東京を一周するJR山手線の最新鋭車両。…というのは一般常識レベルな話だと思うので、マニアックなポイントに絞って解説いたします。

・なして11両?

山手線のE235系は、周辺のJR線の車両とは違い、11両編成と半端な編成両数になっています。なぜそんな事になっているかというと、2世代前の車両、205系の時代にまで話は遡ります。
昭和末期に導入した205系は、導入当初は10両編成でした。ところが、平成になった頃に、混雑緩和を目的とした、片側のドアが6ヵ所もある6扉車両サハ204形を連結。このとき、編成中の1両を差し替えるのではなく、10号車と9号車の間に追加で差し込む形で連結されたため、山手線は全列車が11両編成になったのです。
そして2000年代になると、205系に代わる新型車両、E231系が導入されるのですが、最初から11両編成として登場したため、そのまま山手線=11両編成という図式が定着していきました。

・特異な10号車、サハE235形4600番台

そんな11両編成のE235系ですが、編成中、1両だけ変わった車両が連結されているのをご存じでしょうか。

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それが写真の、10号車に連結されているサハE235形4600番台。
この車両、車端部の窓が一つ多く、更にドアの間隔も一部分だけ他より狭まっている事にお気づきでしょうか。
これは連結位置が10号車であるというのが最大のミソ。
山手線は田端と田町の間(東京駅経由)を、京浜東北線が並行する線路配置になっていますが、それを利用して、山手線の線路の保守整備をしている間は京浜東北線の線路に乗り入れ、京浜東北線の線路の保守整備の場合はその逆という運行をとる事がたまにあります。ですが、近年になって、それである問題が生じてしまいます。それはホームドアの設置。
実はE235系E233系など、JR東日本の新型の通勤電車は、運転室の構造が安全対策上広くなってる事から、一番先頭のドアと2番目のドアとの間隔が狭まっており、先頭車のドア配置が不均等なのです。そして、山手線は11両編成で、京浜東北線は10両編成。すると10号車の位置に設置するホームドアは、京浜東北線の先頭車と山手線の中間車、両方のドア配置に対応する必要があるのです。
そこで、ホームドアの対応に合わせて車両側も、山手線10号車のドアの配置を、京浜東北線10号車のドア配置に寄せた車両を用意する事になり、それで誕生したのが件の4600番台なのです。が…

・編成美が揃わない!

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…この写真を見ての通り、編成全体で見ると編成美が崩れてしまっています。1両だけ何かが違う車両、これが先ほどの4600番台です。

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連結面に近づけた写真がこちら。
4600番台は雨樋と呼ばれる雨水が側面に流れ込むのを防ぐ装置の位置が低く、結果、チグハグな編成美を醸し出しています。どうしてこれのみ他と車体構造が違うかというと、実はこの4600番台が、山手線の先代車両、E231系からの改造車であるからです。

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これがその山手線の先代車両、E231系。こちらは11号車側。
つまりその後ろにあるのが10号車。つまり…

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もう少し分かりやすい構図の写真で。10号車の証である、車端部の2枚窓が!
これこそが後のサハE235形4600番台となる、サハE231形4600番台なのです。
ちなみに2枚ともラブライブラッピング車なのは判りやすい写真がこれしか無かったからです(

実は山手線のホームドアの設置は、E235系が登場する以前から進められていました。その際、当時E231系には7号車と10号車に205系から続く片側6扉の車両が連結されていたのですが、ドア間隔が狭い6扉車ではホームドアが対応できない事から、ホームドア設置前に、新たに製造された通常の4扉車に差し替えられました。
しかし、当時山手線はそう遠くない将来に新型車両…今のE235系を導入しようとしている段階であり、そして新型の導入の際、不要になったE231系を他の路線に転用するとなると1両抜いて10両編成にする為、近々余るのが確実になる車両を新造するというのは非常に勿体ない話です。
そこで10号車に組み込む4600番台は、後に改造してE235系の10号車に組み込む事を見越した設計となり、写真をよく見ると判ると思いますが、ドアの窓がE231系のような角が丸く段落ちモールドのある窓周りではなく、当時最新のE233系に合わせた完全な長方形でシンプルな窓周りになっています。内装も同様当時最新のE233系と同様のものでした。
そして見込み通り、E235系の製造と同時に4600番台はE235系化改造を施され…たのですが、僅かな年月の間に、通勤電車の車体構造は劇的な進化を遂げており、E235系はその最新技術による新たな構造の車体を採用していたため、1両だけチグハグな編成美という構図が出来上がってしまったのです。とはいえ新幹線のように高速で走る訳ではないので、さしたる影響はありませんが。
なお、全50編成のうち2編成だけは4600番台の組み込みスケジュールの都合により、10号車も他と同じ新構造の車体で完全新造されたものになりました。もし山手線で編成美が整ってる車両を見かけたら、それはレア車両だって自慢できますよ?(

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ちなみに、4600番台を抜いた残りの10両はラインカラーを黄色に変え、中央・総武線各駅停車に転用されて今に至ります。

・完全再現!

そんな異端児、4600番台でしたが、シンカリオンZ劇中に登場する「ザイライナーE235ヤマノテ」でも、10号車はきっちり4600番台仕様で完全再現されています。CG班分かってるゥ!
OP映像の「やったろー!」辺りをコマ送りで見てみるのが一番判りやすいかと思います。早速チェックだ!

 

・いざ大宮へ。しかし…

実はシンカリオンZの拠点機能を大宮支部に移す事にしていた横川支部。楔石の欠片の解析が先んじて大宮支部で行われているのと、今後の戦いにおいてはJR東日本全新幹線の結節点である大宮に拠点を構えるのが最適である為だ。
横川支部は一部の最低限の人員だけが残る事に。当然アブトも大宮へ…と思いきや、アブトはシンの元気な姿に安心し、横川に残るとシンに告げるのだった。

…この感じだと、横川支部はこれまでシンカリオンZ及びザイライナーの開発拠点として稼働していたって感じなんですかねやっぱり。最初のZコードが横川付近にあった事も考えると。
しかしまたしても展開が早い。7話目にしてもうバディ解消な展開が…あぁでも前作のホクトのポジションがアブトと考えると、時期的には同じですが…
次回、懐かしの面子も垣間見える大宮支部へ!