小田セン。

好きなものは、好きなままでいられるように。

新幹線変形ロボ シンカリオンZ 第16話「可憐に降臨!シンカリオン ハローキティ」感想&解説 ~ぶらりソウギョク途中下車の旅~

キトラルザスのエージェント、ソウギョク。

彼を一言で言い表すなら、風見鶏。

自らトップに立たず、カイレン、キリン、ナハネと、数多の主君を変えながらも、裏では己の欲望のままに、シンカリオンを、そして仕える主君までもたぶらかしてきた。

そんなシンカリオンにおけるあらゆる事態の黒幕ともいえる存在が、今度はテオティに仕えるようになった経緯がいま、明かされる。 

 

ソウギョク、自分探しの旅

遡る事、2021年1月。
岩手でブラックシンカリオンオーガをビャッコに奪われて以来、盛岡に身を寄せていたソウギョク。相も変わらず、ヴァルハランを呼び寄せた時のように、宇宙に散ったキトラルザスの同胞にメッセージを送っていたが、ヴァルハランが応えた以降は全く音沙汰ナシだった。
失意のなか居酒屋に入り浸るソウギョクに、店主からたまには故郷に帰ってみるのはどうかと言われ、故郷…もとい、キトラルザスの居住地である桜島へ長い帰路の旅を…始めるものの、乗ろうとした新幹線がE5系はやぶさだったばっかりに、シンカリオンに対するトラウマが再発。新幹線に乗る事をやめ、在来線の乗り継ぎで帰路につく事に。
郡山で寄った居酒屋では、店員たちが探査機の「はやぶさ2」の話題していたのだが、ソウギョクはこれを「シンカリオンE5はやぶさ」の事だと勘違いし、更に静岡で寄ったおでん屋では、「のぞみ」という女性に振り向いてくれないのを悔やむ客を見て「シンカリオンのぞみ」に対していつも前座扱いされてる事を思い出し…と、アンジャッシュ状態でシンカリオンに対する恨みつらみを吐露していた。そんなソウギョクに、「片想いかい?」と話しかけるおでん屋の店主。
シンカリオンに片思いしている…? 
そんなのあり得ない…絶対にあり得ないと思いながらも、道中あちこちで新幹線を気にかけながら、遂に新大阪で新幹線に乗り込む決意をするソウギョク。もう普通の新幹線程度で臆する事は無いと自らを奮い立たせるが、その乗ろうとする新幹線はまさかの…

…まさかのソウギョクにフォーカスが当てられた今回。何故彼がテオティに仕えるようになったのか…というのはかねてより疑問でしたが、その経緯がよもや「鉄道の旅」で明かされるのが実にシンカリオン。盛岡の時点でトラウマ再発でしたが、現在、盛岡を発着する新幹線は全部E5系E6系なんでトラウマ不可避なんすよね…哀れなりソウギョク(
そのシンカリオンに対する葛藤にまみれた行程については「今回の鉄道ポイント」の方で…
そして「はやぶさ違い」のネタをここでもやってしまうとは…『日本には、「はやぶさ」がある』というポスターまで出てましたね…アレ、当時の映画とのコラボで出してたやつで掲示してたのも結構前だったんですがね。

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2012年当時、仙台駅に掲示されていたもの。

 

ソウギョク、覇王に敗北

ソウギョクが乗ろうとしていたこだま851号は、よりにもよってハローキティに彩られた500系ハローキティ新幹線」だった。かわいい内装に驚愕するソウギョクだったが、この想いこそが自分の追い求めていたもの、すなわち、新たなシンカリオンだと気づき、ソウギョクは巨大怪物体モードで、因縁のE5Mk-ⅡとN700Aに挑む。
両機が互いにブラックナンバーズに見える幻覚を見せて同士討ちを狙う作戦にでるが、その時、ソウギョクがついさっき乗っていたハローキティ新幹線がシンカリオンになって介入、リンゴミサイルで幻覚を晴らす。
ハローキティ本人が運転するシンカリオンハローキティは、頭部もキティそのものになったキティモードへと変形し、間に割って入る。
「この人はきっと、シンカリオンのカッコいい姿を見たかっただけなのよ!」
「自分に嘘はつかないで!貴方の心のままに…!」
あまりにも図星とも言えるキティの優しい言葉に、何も返せないソウギョク。
「待て!まだだシンカリオン!俺は、お前たちともっと…!」そう叫んだソウギョクだが、ふと気が付いた時には、終点、博多駅に到着していたこだま851号で気絶していた状態だった。
博多総合車両所の前で、ソウギョクはやっと「自分」を見つけた。もう1度、シンカリオンと踊ろうと。その瞬間、その言葉を待っていたと声をかけるのは、テオティの首魁、カンナギ。そこでソウギョクは、テオティに誘われ、現在に至る訳である。 

…キトラルザスは皆、シンカリオンに関わるとどうしてもシンカリオンの事が気になってしまう…ソウギョクも例外ではなかったという事ですね。セイリュウやゲンブのように、シンカリオンが好きになってそのまま仲間になったケースの方が際立ちますが、「またシンカリオンと戦いたい」というのもまた、「シンカリオンが好き」な現れの一つ…なのかもしれませんね。
そして今回ソウギョクに(精神的に)トドメを刺した覇王鬼帝…じゃなくてハローキティ。戦闘シーン自体はブラック紅をN700Aに差し替えた以外は以前に公開してたPVとほぼ同じなのですが、まさかキティが戦いを止めた理由の台詞のアレコレが、そのまま今回のソウギョクの心情となって伏線化するとは…いやぁ、ほんと思わぬ形で回収するとこあるから侮れませんねシンカリオンは。

 

・今回の鉄道ポイント:途中下車制度とソウギョク旅程崩壊

今回劇中で登場した鉄道要素で出た「途中下車」という制度。
あまり知られていない制度ですが、JRには特定の条件を満たした乗車券(運賃のみの切符)だと、途中の駅で一旦出る事が可能な制度があります。以下は参照。

途中下車:JR東日本

途中下車│きっぷのルール:JRおでかけネット

まぁかいつまんで言うと、片道の乗車区間営業キロ(※)が101km以上だと期間内であればどの駅でも何度でも途中下車が可能になるという制度です。
劇中のように、友人改札で途中下車手続きを行う場合、下車印という印を押されます。下車印は駅によって個性があるため、それを集めるために途中下車しまくるマニアもいますし、「青春18きっぷ」などは自動改札機を通せない為、必然的に下車印が沢山押されるのが恒例行事だったりします。
これを活用するのはよっぽど鉄道の営業規則に詳しい旅行オタクぐらいなので、ソウギョクでなくとも一般人はこれを知られるとさぞビックリするでしょうね。
営業キロ:運賃計算に使われる路線の距離。諸々の事情から実キロ(実際の距離)とは異なる事が多いためこれが用いられる。

本来なら、
盛岡12:50発 はやぶさ・こまち22号 東京15:04着
東京15:30発 のぞみ45号 博多20:30着
博多20:57発 さくら569号 鹿児島中央22:36着
と、1日で鹿児島まで行けた筈のソウギョクの旅程が、在来線乗り継ぎでどのように推移していったのか考察してみましょう。

1月11日

トラウマから12:50発の「はやぶさ22号」に乗る事を断念した時刻を基準にするとなると、直近で13:08発の一ノ関行がありますが、ソウギョクのあのパニックを考えると即刻で新幹線キャンセルして在来線の乗り換えるほどの余裕はなさそうなので、それを踏まえると実際に乗ったのは…
盛岡16:03発 1546M一ノ関行 一ノ関17:35着
一ノ関17:55発 542M仙台行 仙台19:33着
仙台19:40発 594M福島行 福島21:02着
福島21:29発 1160M郡山行 郡山22:17着
だと思われます。夜遅くで郡山が終着…となると。
ちなみに郡山の下車印が「(北)郡山」となっているのは、奈良県にも同じ「郡山駅」があるため。これは券面でも反映されており、奈良県の方は「(関)郡山」と記されます。

1月12日~13日

この2日間で郡山から東北本線で南下、そのまま上野東京ラインを経由して東海道線の静岡まで行ったものと思われますが、博多到着時点で首都圏エリアでの下車印がなかったのが謎。描かれては無かったものの、おそらく12日にどこかで下車したのは間違いないかと…

1月14日

この日は静岡から名古屋まで。距離としては丸1日かかる訳ではないのですが、翌日の事を考えると名古屋で降りたのちリニア・鉄道館に寄った可能性も。
なお劇中ソウギョクが乗っていた電車は、窓割りからし311系と思われますね。となると昼間の時点で浜松か豊橋は超えてた筈。やはりあそこで新幹線見た時に…(

1月15日

この日は名古屋から京都まで。大垣や米原で乗り換えは必須ですが、それでも2時間ほどで行けてしまう距離。そして京都鉄博に寄っています…これは完全に「意識」してしまってますね…

1月16日

旅程としては京都から新大阪までは新快速で24分と短く、本数も多いためどの列車か…はここでも特定は難しいですね。そして新大阪で自由席特急券を買い…

新大阪11:32発 こだま851号(ハローキティ新幹線で運転) 博多16:11着

…あとは知っての通り。ソウギョクの今後を決定付けた旅路は、こうして博多で打ち止めという形で終えました。

 

・一方シン達はというと

アブトが敵になった事でそれどころじゃないというのに、ハナビ達に半ば強引に旅行に連れてかれたシン。道中、ハローキティラッピングの281系はるかに遭遇しつつ、一行が向かったのは、心霊スポットとされる泉佐野市の犬鳴山トンネル。ハナビとタイジュは、オカルトスポットに連れてシンに元気を取り戻そうと画策していたのだ…が、シンに「もしかして"福岡の"旧犬鳴トンネルの事?」とツッコまれ、行先を間違えてた事が判明する。しかし、シンは2人の気遣いに応え、翌日、女性でも体験できる修験道の七宝龍寺に案内し、そして犬鳴山温泉でひと風呂浴びる。結果オーライではあったが、シンにとって良いリフレッシュになったようだ。

…つまり今回のテーマは二つの視点で「キティとカン違い」だったんですねぇ。既にシンカリオンで出ていたキティ新幹線ですっかり忘れてましたが、そういや出てましたね、キティラッピングの特急はるか。
…CGでしたよね?まさか…こないだ500エヴァエヴァミュースカイを携えてシンカリオンZ化されるって情報が出たばっかりなのに!?

そして次回、蒼井翔太500系親バレを何とかする?
遅い夏の500系祭りはまだまだ続く…