小田セン。

好きなものは、好きなままでいられるように。

新幹線変形ロボ シンカリオンZ 第17話「キラめく☆シンカリオンZ 500こだま」 第18話「巌流島決戦!シンVSギンガ!?」感想&解説 ~仲間を信じて~

リーダーとしての自覚を持ち始めるシン。

しかし、より高まるアブトに対する想いに反するように、Z合体が出来なくなるという事態に。

そこに颯爽と現れた新たな仲間は、自分がリーダーになると言い出して…?

仲間とは、信じるとは…シンのリーダー力が、いま試される。

 

・アブトの見た景色

アブトが何故ダークシンカリオンに…未だ悩むシンとスマット。そんな折、少し前に島整備長が母・トキの元へ再び訪れてシンカリオンの事について改めて説明してた事で、家族にシンカリオンの事がバレてしまった。ロボットに乗って過酷な戦いをしてると根耳に水の如く事実を知ったアユは激高するが、シンは機転を利かし、ハナビ達に誘われてた碓氷鉄道文化むらの機関車塗り直しイベントに母とアユも誘う事に。
こうして家族を連れて文化むらに訪れたシンは、イベントが始まる時間まで展示車両について案内する。そうして案内できるのもアブトの影響だと思うと、やはりどうしてもアブトの事が気になってしまうシンに、母は「信じてあげればいいんじゃない?」と助言する。
そしてイベントの時間。ハナビら仲間やその家族と一緒にイベントに取り組むなか、アブトの母・シラユキも訪れていた。アブトが敵に…なんて言えないシンを前に、シラユキは、アブトは昔からこのイベントを楽しみにしていて、休憩時間の間も塗っていた事を明かす。そして再塗装も無事に完了し、アブトはこの風景も見てたのかな…と感慨にふけるシンに細川は、アブトはこういう景色も見ていたと、シンを肩車に乗せて高い位置から機関車を見させた。アブトはきっといつか帰って来る…そう信じる事にしたシンは、改めて、仲間と共に「対話」をする決意を固めた。
そして京都は比叡山に出現した巨大怪物体を倒すべくシン達は出撃するのだが…どういう訳かZ合体が出来なくなるほどにシンの適合率は低下していた。
このままでは敵を倒せない…とその時、鮮やかなヴォイスと共に、シンカリオンZ 500こだまが颯爽と現れ、そして華麗な動きと剣捌きで敵を打ち負かすのであった…

シンカリオンバレの危機…と思いきや、実は事前にバラされていたというオチ。でもシンカリオン「さん」と戦う、と言ってたり、まだどことなく分かってない感じ。ママさん天然?
この回ではアブトが見ていた景色をシンが追体験するという構図でした。肩車のくだりはおそらく…アブトとその父・トコナミとの…でしょうね。
しかしそうした意識が逆に適合率を下げてるのでしょうか…?

 

・嵐を呼ぶスーパースタァ

ひとまず戦いを終えたシン達は3人は、京都鉄道博物館にある超進化研究所京都支部に呼ばれ、そこでこちらもアブトの事情を聞きに招集された安城兄弟やヤマカサと再会する。こうして6人の運転士が集まった所で、華麗な面持ちで現れたのは先ほど敵を撃退した500こだまの運転士、嵐山ギンガだった。アイドルの卵であるギンガは、アブトの事で悩むシンに代わって、自分がチームシンカリオンのセンターになるよと言い出す。唐突なニューリーダー宣言にハナビらは反発するが、ギンガは仕事があるために早々と離脱してこの話は一旦保留に。
折角皆集まったのだからと大阪食いだおれツアーとしゃれこむ最中、大阪駅でギンガと再会。鉄トークとなると関西弁になるギンガは、駅メロディーからイメージを膨らます事が好きであり、例えば大阪駅の場合、銀河をかけるレインボー・トレインが出発の時を待っている…といった感じだ。
そうした高いイマジネーションは、適合率の因子のひとつ、「鉄分」の高さにも反映される。だからこそ、自分がセンターになれば、仲間が苦しむこともなく、日本を護る事ができる。それがギンガがリーダー宣言をした理由だった。だがシンはあくまで、チームシンカリオンは、リーダー1人だけでなく、みんなで強くなりたいと主張する。
こうも主張が拮抗するなら、下関の巌流島で、武蔵と小次郎の如く決闘をしようじゃないかとナガラは提案する。お財布が心配な本庄はアンジャッシュ状態で許可してしまい、巌流島でシンカリオンを用いて1対1の決闘をする…のだが、何故かその場に明星アケノがいた事で外野もシンカリオンバレの危機に。しかしその時ソウギョク巨大態の介入により捕縛フィールドを展開、決闘はお預けとなる。ナイスソウギョク。
キティとのアレによる敵対心でもあるのか黒煙を撒いた事で全く視界が見えない500こだまは一方的に攻撃される。そこでシンはエキスカリバーから発する光の軌道を無限に敷くことでギンガに明かりを照らす。形勢逆転したギンガは500こだまのシンゴウトウの一閃でソウギョクを撃退。「仲間の力」になるシンの働きに、ギンガはシンこそがセンターに相応しいと認め、熱く手を交わすのであった。

…嵐山ギンガ、CV:蒼井翔太
もう今や伝説のクソアニメのせいで変なイメージが付きまとってしまったキャストなのでどうなるかと思ったら…え、如月ルヰ?と思ったこの回。
「定刻通りただいま到着!」とどこかで聞いたような嵐を呼ぶフレーズで現れた彼の「好きな物」は「鉄道の音」。大阪駅からイメージしたのはまさにというかまんま「WEST EXPRESS 銀河」のソレでしたが。
「仲間を導く」ギンガと、「仲間とともに進む」シンという、リーダーの在り方の違いは、前作初期にあった、一人で戦うリュウジと皆で戦うハヤトのスタンスの違いに通ずる話でしたね。
そして今回はまた一人懐かしい顔ぶれが。かつて大宮支部で巨大怪物体の命名も務めていたオペレーター、本庄アカギ。終盤の経験もあってか、今作では京都支部の指令長代理という役に就いていました。東や出水のように指令長らしく毅然と振舞うも、難しい言葉の多用でハナビらに理解されなかったり、皆してくいだおれの旅を楽しむのでお財布がスッカラカンになったり、巌流島での決闘を許可してしまい指令長なのに始末書を書かされたりと不憫さは相変わらずでしたが。がんばれ本庄…

 

・今回の鉄道ポイント:「ぶどう色」と電気機関車の色

今回文化むらでのイベントは、展示していた機関車を再塗装するというもの。実際に碓氷鉄道文化むらでも、定期的にこうした塗装イベントが開催されており、参加する有志の手によって展示車両たちは綺麗な装いを保っています。
日本の気候上、屋外展示の鉄道車両は年月とともに塗装や車体が劣化しやすく、今回のように定期的に清掃・再塗装といったメンテナンスを受けないでいると、修復不可能な程に劣化が進み、解体を余儀なくされる…という事態にまでなってしまいます。それだけ、鉄道車両の保存というのは手間がかかる事なのです。

さて、今回塗装されたEF63形電気機関車1号機は、これまでちょいちょい出てきていたEF63とは違い、焦げ茶色で塗装されてきたものでした。が、十河指令長も言ってたように、この色は「ぶどう色」と呼ばれています。鉄道の主役がSLであった時代、SLから出る煙や煤などで汚れても目立たないようにするために、昔の客車はこの色ばかりに塗装されていましたが、その当時から「ぶどう色」と呼ばれていたものが後々の時代の現場でも定着した結果…なのでしょう。
ハナビが「赤色に塗ったらどうか」と聞いて十河指令長がとんでもない!と止めてましたが、これは単にEF63といえば茶色だから…というだけの理由ではありません。現に青色のEF63だってこれまでも出てきていたので。
実は国鉄時代の電気機関車は、かつては客車と同じくぶどう色でした。しかし戦後、機関車の技術進歩や交流機関車が登場したことで、電気機関車のタイプが増えた事から、戦前製の旧式はぶどう色のままにし、戦後、新技術で作られた電気機関車は新たな標準塗装を制定する事になり、EF63のように直流区間のみを走れる機関車は青色、ED75など交流区間のみを走れる機関車は赤色、直流・交流、どちらの区間も走行できるEF81のような機関車はローズピンク色…と、通れる電化区間に分けて塗装が分けられました。なのでハナビの言う通り赤色にしてしまったら交流機の色にしてしまう事に…
ちなみに今回塗装していたEF63の1号機は、引退してからぶどう色に戻されたものだったりします。

ちなみにそうした色分けは何気に現在のJR貨物電気機関車で形を変えて受け継がれており、JR貨物発足間もない頃に製造した国鉄型電機では、メイン塗装こそ青のツートンに白というJR貨物オリジナルですが、運転士が出入りする扉の色が直流用が黄色、交流用が赤、交直流用がピンクとこちらも用途別で色分けされていた他、現在の主流であるEF210「桃太郎」のようなハイテクロコでも、直流用は青系統、交直流用は赤系統と分けられています。

 

・一枚岩ではないテオティの内情

その頃アブトはというと、テオティの王位継承者であるカンナギと相対する。カンナギはアブトにやるべきことは分かってるな?とアブトにシンカリオンを倒すよう命じ、アブトも乗る。
しかし一方で、カンナギはヴァルトムが楔石=ブラックストーンの破壊を進めている事に難色を示していた。楔石はアラバキという星一つ滅ぼせるバケモノを封じる為に、過去のテオティの戦士が打ち込んだものだったのだ。そんなバケモノを蘇らせる理由、それは地上のリセット、つまり人類文明の破壊であるとソウギョクは語る。しかしヴァルトムの思惑はそれとば別にあり、アラバキを蘇ったドサクサで自分が王位を継承しようとしていたのだ。ワダツミはそんなヴァルトムの野望に乗るつもりは無いようだが…
して、カンナギはダークシンカリオンはまだまだ未完成だと言い、アストレアと共に闇の新幹線でザガンという者の元へ向かうが、アブトも密かに乗り込み、小惑星らしき場所へ。そこでアブトが見たのは、カンナギを出迎えるように現れた、ザガン…いや、アブトの父、トコナミ

…うすうす感じてはいましたが、どうもテオティの内情はキトラルザスの時以上にバラバラな模様。地球侵攻だったり王位継承だったり、その先にあるテオティの目的は果たしてどこにあるのかは未だ謎ですね…
そしてそんなテオティの内情を視察する素振りも見せるアブト。…やはり父を探すべく敢えてテオティに付いてたんですね。遂にここまで来た。アブトは父と何を交わすのだろうか…?